2024年の注文住宅のトレンドは?
住宅業界全体では、業績の二極化傾向がより顕著になっています。また、2020年から続くコロナの影響もあり、将来が見えにくい状況で、住宅業界は直面するべき課題が山積みです。
しかし、業績が急速に拡大した企業は少なく、地道にコロナ禍で種をまいた企業が実を結びつつあるでしょう。今回は、2024年の注文住宅のトレンドについて詳しく紹介します。
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住宅業界の2024年問題と現状
住宅業界では、人材不足が深刻な問題となっています。若手の離職やベテランの引退、全体的な労働人口の減少が主な原因です。しかし、建築業の離職率は、厚生労働省が発表した「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、全体で9.3%となり、宿泊業・飲食サービス業の25.6%と比較しても決して高くはありません。
全体では高くない離職率ですが、同じく厚生労働省が発表した令和2年3月卒業者を対象とした「新規高卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率」では、全体平均が37.0%に対し、建設業は42.4%です。建設業界は労働強度が高く、長時間労働や厳格な管理が求められるため、働きやすい環境でないことが影響していると予想されます。
また、住宅業界の市場として、新設住宅の着工戸数が減少傾向にあります。国土交通省が公表した「建築着工統計調査報告」によると、令和4年度の新設住宅着工戸数は860,828戸であり、前年度比では0.6%減と今後も市場は縮小する見込みです。そのため、限られた顧客層を巡る、激しい競争を引き起こす可能性があるでしょう。
上述からも分かる通り、現状の住宅業界は、人材不足と市場の縮小という二重の課題に直面しています。労働環境の改善や技術の導入による生産性向上、異なる顧客層へのアプローチが求められるでしょう。
住宅業界の2024年問題
2024年問題とは、建設業において2024年4月から施行される労働基準法改正に伴う課題を指しています。法改正により、建設業従事者の時間外労働が月45時間、年間360時間に制限され、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率も引き上げられます。そのため、建設業界では従業員の労働時間の削減と人材不足が深刻化し、労務費などの人件費が増加すると予想されるでしょう。
変化がもたらす課題として、1人あたりの労働時間の適正化により、これまでの業務をより多くの従業員でこなす必要が生じます。しかし、人材不足と労働時間の削減により工期が伸び、結果として建築費が上昇することが懸念されています。建設業の2024年問題は、上述の要因が重なり合い、マイホーム建築における総工費の増加につながる可能性が高まる可能性があるでしょう。
2024年の住宅業界のトレンド予想
建設経済研究所は、2024年度の新設住宅着工戸数が、前年度比0.2%増の85万4700戸となるとの建設投資予測を発表しました。この予測では、建設コストの高騰が一巡し、消費マインドに変化が見られるとの見方が示されています。
上述を踏まえて、2024年のトレンド予測を詳しく見ていきましょう。
コロナ禍で住宅に対する関心が高まる
コロナ禍の影響で、2020年以降ステイホームが促進されました。テレワーク増加などにより、家での時間が増えることで、よりよい住環境を求める人が増え、新築やリフォームの需要増加傾向にありました。
現在は、新型コロナウイルス感染症の5類移行にともない、出社を促すオフィス回帰が進んでいます。しかし、引き続き住宅への関心が高まる可能性があるでしょう。
顧客の知識レベル向上
近年、住宅に関する情報公開がTwitterやFacebookだけでなく、YouTubeでも盛んに行われています。具体的には、建物の構造や住宅ローンの説明などを専門的に解説するYouTubeチャンネルが増えており、多くの人にとって有益な情報源となっています。さまざまな方向から視聴者は住宅における専門的な知識を獲得でき、自らの家を建てる際の理解を深めているといえるでしょう。
そのため、事前に知識を蓄えた上で相談に来る顧客が増加しており、住宅関連の営業担当者は、より高度な専門知識やアドバイスを提供する必要があります。
ZEH(ゼロエネルギーハウス)の提案が増加
現在、世界的に脱炭素やカーボンニュートラルが注目されており、日本でも温室効果ガス排出削減などの取り組みが進んでいます。
なかでも、建築分野はエネルギー消費量の約3割、木材需要の約4割を占めており、2025年4月以降に着工するすべての建築物に「省エネ基準」への適合を義務付けることが決まっています。また、政府は2030年までにすべての新築住宅について「ZEH(ゼッチ)基準」水準の省エネルギー性能を確保する目標を掲げているのです。
ZEHは、エネルギー消費量の収支をゼロ以下にする住宅を指し、省エネ基準よりも20%以上の一次エネルギー消費量の削減が求められる厳しいものです。目標に向け、2022年からは「住宅の脱炭素施策」として積極的な取り組みが行われています。
国土交通省・経済産業省・環境省の3省の協力による補助策も進んでおり、ZEHの推進が注力されています。そのため、2024年にはZEHの提案を行うハウスメーカーや工務店が増加することが予想されるでしょう。
材料費の高騰
アメリカや中国での木材需要増加にともない、材料費の高騰が今後よりいっそう進むと予想されます。具体的には、コロナ禍において、アメリカや中国で新築住宅の需要急増にともない、木材の買い占めが発生しました。需要集中により、運搬コンテナの不足や感染拡大による林業・製材業の低稼働率、物流ルートの停滞・縮小などが重なり、木材価格が急激に上昇したのです。
その後、ロシア・ウクライナ情勢による原油高や円安の影響もあり、日本の建築業界に大きな影響を与えました。2023年に入っても状況は改善されていますが、ウッドショックは完全に終息したわけではなく、木材価格の高騰が続いています。林野庁のデータによれば、木材価格はピークアウトしたものの、それ以前の水準にはまだ戻っておらず、輸入製材や構造用集成材、合板なども価格変動が続いています。
また、日本建設業連合会によると、2023年11月時点での建築資材物価は2021年1月比で約28%上昇しており、2021年1月から2023年10月までの34か月間で全建設コスト平均が17~20%上昇しているのです。
具体的な建材では、鋼板中厚板が80%、異形棒銅が70%、生コンクリートが40%、ストレートアスファルトが77%、ステンレス鋼板が68%、板ガラスが74%上昇など、主要な建材が価格上昇しています。この影響で、建築関連では躯体、仕上げ、設備など幅広い分野で納期遅延が生じているでしょう。
資材の納期遅延は、工期に直接の影響を与えるだけでなく、代替品での仮引き渡し後に本来の資材を調達するために追加工事や代替品調達にかかる費用が増加します。とくに一部の建築設備工事では、工事の集中と職人の手配のタイトな状況が相まって工期への影響が顕著となっています。
リフォーム市場の拡大
新築住宅の着工数が減少する中、リフォーム市場は成長が期待されています。矢野経済研究所によると、2030年までリフォーム市場は緩やかな増加が予測されています。
具体的には、少子高齢化による新築市場の縮小と「住宅あまり」の状況から、既存住宅のリフォーム市場が注目を集めているのです。また、在宅ワークの普及や、快適な住環境への関心の高まりもリフォーム市場の成長を促しています。
しかし、新築住宅に特化していた住宅メーカーや工務店もリフォーム市場に進出しており、競争が厳しさを増しています。そのため、成長市場であっても、競合他社との差別化がますます求められるでしょう。
まとめ
2024年の住宅業界においては、昨年と同等な景気が予測されています。しかし、材木不足や資材不足などの課題が多く、見通しがはっきりしないのも事実です。同時に、来年から始まるインボイス制度など、さまざまな課題にも対処する必要があります。
ただ、この状況は、新たなチャンスととらえられます。他社よりも早く新しい要素を導入し、独自性を打ち出して差別化することで、売上を大幅に伸ばせるかもしれません。不安が続く中でも、未来を見据えた戦略の策定が2024年の大きなテーマとなるでしょう。
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